社長ブログ

40. IBM i Power10の搭載は7月です — IBM i導入戦略の紹介

先日IBM i の新バージョン Ver7.5が発表されましたが
Power10の中古型機への搭載の発表は2022年7月と予想されています。
(現在 Power10は発表されているものの中小型機にはまだ搭載されていない)

Power10が発表されるとそれまでのPower9搭載モデルが割安で
提供されるはずです。
現在、弊社で使用している最新のIBM iは Power8モデルであり
今回のVer7.5は導入することはできません。

– IBM のOS VerとCPUモデルとの関連はこちらで –

そこでどれを選べば良いのか迷ってしまいます。
弊社のPower10への戦略をご紹介致します。

i5/OS 7.5の導入の選択肢は大きく分けて次の5つになります。

(1)新発売のPower10をリースまたは買取りで購入する

(2)旧製品のPower9をリースまたは買取りで購入する

(3)IBMクラウドでVer7.5を契約する

(4)特約店クラウドでVer7.5を契約する

(5)自社でPoweSystemを購入してデータ・センターに預ける(ハウジング)

… IBM クラウドは英文OSのみですが予告なくリリース・アップしてしまう
可能性があり同じリリースのOSを使い続けたい当社にとっては
採用は難しくなります。
そこで(4)特約店によるクラウドですがCPW値が低いのと結構割高になり
5年以上使うのであればオンプレの方がお得になってしまいます。

オンプレ(=オンプレミス:社内にハードウェア設置)で
  (1)Power10または(2)Power9を導入ということの選択になりますが
Power9 発表後のPower8 をオンプレで導入したところ
Power8 に LPAR区画を切って i5/OS Ver7.3 と Ver7.4 を導入することが
できましたが Ver7.5 が導入できるのは Power9 と Power10 までに
限られていたために Power8には Ver7.5 を導入することができませんでした。
  
  これからわかることは

・同じCPU世代に搭載可能なi5/OSは3世代までである。

  

・つまりLPAR区画で3世代4 x 3=12年間の運用ができる。

・従って一世代前のPowerSystemを安く買ったとしても使用可能なのは
2世代までのOSであり使用可能な年数は 4 x 2 = 8年間までである。

 

・タワー型かラック型か?

…従来、弊社ではタワー型のPowerSystemを導入してきたが
今回よりLTO バックアップ・テープ装置がタワー型には
着かないことがわかった。
   ラックも場所を取るのだが今では小さなラックも出ているようなので
ラック型のPowerSystemを導入せざるを得なくなった。
弊社ではバック・アップは

・LTOテープ装置
・FTPによるWindowsサーバーへのバックアップ

   と二重にバック・アップを取るようにしています。

・自然災害対策

当社のビルは高層タワー・マンションであり強固な免震装置が基礎にあり
大阪北部地震でも震動による影響は内部では緩和されていて
ほとんど影響はありませんでした。

配電に関してはUPSは当然、設置されているが1時間ほどしか耐久がないことが
台風による停電で経験したので台風接近のときは電源を予め落とすように対策しています。

   自社でハード・ウェアを導入するとしてもデータ・センターに預けるハウジングという
方法であれば災害対策はかなり強固になります。

 

・自然対策とHDDの選び方

HDD(=ハード・デスク)には従来のHDDとSSD(=Solid State Drive)の2つの種類があります。

従来型のHDDはアクセス・アームがあって磁気デスクをアクセスして読取る方法ですが
この方法であれば地震による過激な震動が加わると磁気デスクを損傷してしまう可能性があります。
HDDに対してSSDは物理的に動くものがない記憶方式であるので地震による損傷はほとんど
ありません。
タワー型のPCではHDDを採用していますがノートPCではSSDです。
ノートPCのほうがタワー型のPCよりパフォーマンスが良いと感じるのはこのSSDによるものです。
従ってPowerSystemでもSSDを採用したほうが同じCPUモデルでも圧倒的にパフォーマンスは
良くなります。
ただしノートPCのSSDは安価ですがPowerSystemのSSDは高価です。
オンプレで地震対策を考慮するならSSDの採用をお奨めします。
(弊社ではビルが免震構造であるのでHDDを採用しました。)

最新情報–ウクライナ戦争による値上げ

驚くことにウクライナ戦争の影響と思われますが
Power10や補修部品や保守料もPower9に比べて約2倍の大幅な値上げが行われているそうで
ウクライナ侵攻による半導体不足の影響によるものと思われます。
Power9は価格が下がるのではなく据え置きでPower10関係が大幅な値上げとなります。
ですからPower10の発売とともにPower9の値段が下がるという目論見は見事に外れました。
なおPower10の実際の出荷は今年の秋くらいになるだろうという予想があります。

・マイナー・チェンジであること

今回のリリース・アップは Ver8.1と予想していたが実際はVer7.5というマイナー・チェンジで
した。
IBMは大きな変更と唄っていますが今回はどう見てもこれは
マイナー・チェンジであることは間違いありません。
ということであればVer7.5の導入は動作確認に留めておいて
Ver8以降にオンプレまたはハウジングで導入したほうが長期的に使用が可能となるという
考えが社内ではあります。

一時的なクラウド利用が濃厚

大幅なハード・ウェアの値上げ + マイナー・チェンジ ということになれば
一時的なクラウドでの利用が得策に見えてきました。
今まで弊社では自社導入を基本としてきましたが
将来と開発用のPowerSystempは現行マシン以外にまだ2台保有していますので
あと8~10年は今の保有機で十分だと思います。
 
まだ決定はしていませんが7月の情勢を見極めたいと思います。