社長ブログ

46. IBM iはなくならない心配ご無用

IBM iをビジネスとしている業界では
IBM iは古いんじゃないかとか
「私たちはIBM iを続けます」とか
宗教の呪文のように祈るように唱えているのを
聞くと少しおかしいと感じています。
IBM iが使い続けられるのは日本と米国の経営のちがいを
少しでも見れば当たり前だからです。
中にはChatGPTに聞いてみたりするのは
本当にこの人たちは自分に自信がないのだなぁと感じてしまいます。
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前にも語ったのですがFacebookで米国の調査によると
今や日本がIBM iの最大ユーザー数の国であると
いうことです。IBM iの最大ユーザー数は米国ではなくて日本なのです。

理由は簡単で米国と日本の経営のちがいにあります。
以下にご説明致しましょう。

■米国はトップ・ダウン方式の経営

米国はトップの意思による経営で何事も
トップ・ダウン方式によって経営が行われています。
従って社員や従業員が使用する分析表などはあまり力を入れず
ほんどないも同然です。
小職がいくつかの米国のIBMユーザーを昔、訪問したところ
ある大手軍需産業では伝票入力をDFUで入力していました。
その後でチェック・リストで入力をチェックするのかと
尋ねたところチェツクはせずにそのまま更新するということでした。
これには驚いて再度確認すると「1ドル以下の過ちがあっても問題はない」
という答えでした。
なるほどそういうものかとその場は納得したのですがよく考えてみれば
1桁の位を打ち間違えれば大変であるが随分雑であると感じました。
しかし経営者への報告資料はなるべく1ページに短くまとめた
すごい緻密な資料を出力しているようにしている会社が多いのです。
つまりトップ・ダウンの経営なのでシステムはシンプルで
トップがパッケージに替えろと言えば簡単にリプレースされてしまいます。
このようにしてソフトウェアのパッケージ化が進みIBMでなくても
パッケージで事足りるのです。

■日本の経営はボトムアップの合議制

 米国のトップ・ダウン経営に対して日本では複数の役員や担当者による
合議制で経営が進んでいくのが基本です。
 稟議書というのがその典型で日本の経営実態をよく表しています。
このため多くの部署の意見や商習慣が反映されたカスタマイズが
必要になるのです。
よく「うちの会社をシステム化できればどのような会社にも適用できる
パッケージができる」とか「うちほど複雑な事務処理はない」のように
複雑さを自慢する責任者が日本に多いのはそのせいです。
複雑な事務をシステム化しようとするとパッケージをそのまま適用することは
不可能であり受託開発が必要になります。
受託開発経験が豊富なソフト開発会社であればそのことは十分承知しているはずです。
したがって会社によってパッケージに置き換えられるシステムというのは
ほぼ存在しません。
幸いIBM iはユーザーで開発できることを意図してできたマシンであるので
日本の事情にはおあえつらえ向きのコンピュータであると言えるでしょう。
IBM iは元々日本向けの日本の事情に適したコンピュータであったのです。
RPGを開発できる人がいないからと言ってIBM iの使用を止めようとするのは
本末転倒です。
今までに作り上げてた社内独自の適用業務を捨てて新たにオープン系で作るのは
工数や費用がかかるだけでなくバグだらけのシステムを生むことになります。
RPGの開発者がいなければ育てればよいのです。
元々RPGは素人からでも使えるように作られている言語であり
少々いい加減に作っても動いてしまいます。

■ IBM iは日本の企業に定着している

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 このように米国と日本の経営方式のちがいがIBM iの普及の差になっているのは
当然です。
一部の体力のある企業ではIBM iから他システムへ置換えようとする会社もありますが
それはごく一部です。数パーセントもありません。
他システムへの置き換えを考えるよりはRPGプログラマーを育てたほうが
よほど合理的です。
オープン系の開発者人口は多いが今最も多いプログラマーはPythonですが
これはデータ・ベース解析には向いていません。
Javaも使われているのはスマホだけでありJavaでデータ・ベースを扱っている
業務は聞いたこともありません。
 IBM iが続きますようにとChatGPTにお祈りなんかしなくてもいいのです。
論理的に考察すればIBM iは日本企業にしっかりと定着していると考えてよいからです。

■ 言語やi5/OSは時代に応じて成長している

主要な開発言語であるRPG/COBOLは時代に応じて成長しています。
これはIT業界の言語では珍しくJavaは新しくリリース・アップして
STRUTSという難解なメイン・ルーチンを導入してJava層が離れていって
しまいました。
MicrosoftもBasic, C++ –> VisualBASIC, VC++までは良かったのですが
これらを無理やり C# に統合してしまったことで
開発者層を減らしてしまいました。
過去の開発者のノウハウを切り捨ててしまったのです。
オープン系の開発言語のほうがはるかに寿命は短いのです。

RPGではいまだにRPG IIIで開発することもできますが
よりオブジェクトを統合できるILE技術を始めJavaも動作させることが
でき早くからUNIX互換のIFSデータ・ベースも取り入れて
進歩してきました。
RPGは時代に応じてXML, JSON, UNIコード, PDFなども取り入れてきました。
このような進化のあるマシンは他に例を見ません。
IBM iの進化は遅れたとしても私たちが十分扱えるように
アーキテクチャーが公開されています。
だからIBM iは面白いプラットフォームなのです。
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古い技術であってもそのまま動作できる上位互換性を保ちながらも
新しいフリー・フォーマットでもRPGでも開発できるという
旧石器時代から最新のアーキテクチャーまで揃えたコンピュータは
どこにもありません。
最近になって知ったことですが弊社のローエンドの最下位機種の
Power6 (Ver6.1)のマシンはなんとCPW 4300だそうです。
このような古いマシンでもCPW 4300で動作しているのは
Windowsサーバーに比べて驚異的です。
体感的に感じたのはC言語のコンパイルがIBM iがWindowsより
圧倒的に速いと感じたのは Ver6.1からです。
それ以来弊社はオンプレで今もVer6.1で開発しています。
もちろんVer7.1~7.4までをオンプレで社内に設置して
Ver7.5もクラウドで契約して動作検証に使っていますが
Ver6.1で遅いと感じることはありません。
品質においてもIBM iは実用的で信頼性の高いマシンであると言えます。

■ 進化できるプラットフォーム

i5/OSの良いところは十分にアーキテクチャーが公開されているところです。
プロから見るともっと内容が欲しいところですが
i5/OSの上には構築できる土壌は山ほどあります。
だからi5/OSの上に優秀な開発会社が競争してよりよい製品を
作ることができそれは現在IBMの望むところでもあります。
IBM iのプラットフォームに優秀な製品が構築されれば
されるほどIBM iの付加価値は高まります。
他のプラットフォームでは不可能なソリューションであっても
IBM iの上だからこそできることも多くあります。
私はもっと国内のIBMソリューション・ベンダーが健全な競争を
してよりよいソリューションを競って欲しいと願っています。
現在の海外輸入製品の出来ははっきり申し上げて良くはありません。
これでは日本企業の競争力は失われてしまいます。
このような製品は輸入して欲しくはありません。
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しかし国内開発会社がもっと緻密な製品で競合して欲しいと願っています。
かつてはWeb化製品を競っていた国内メーカーでせっかくユニークな
機能を発表していたのに今では活動を潜めている会社は
本当にもったいないと思います。
IBM iはその上に多くの付加価値製品を作り上げることができる
よきプラットフォームなのです。
国内の開発会社でよりよき製品が生まれることを願っています。

■ お祈りする必要はない

 ChatGPTにお祈りしてGPTさまからこうお告げがあったと公示する必要など全くありません。
今は21世紀であって卑弥呼の倭国の時代ではないのです。
 自分の論理思考に自信がなくってAIに尋ねるとはやってることは
卑弥呼の時代と変わりはないと思いませんか?
 アナログすぎるのです。
AI 様がこう言っておられると告げるのは自分で考えることを
捨てた単なる宗教と変わることがありません。
 私たちは自分の考えで合理的に判断すべきなのです。
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■結論

IBM iは元々日本の経営に適したコンピュータであり
それゆえ日本企業にしっかりと定着している。
今後も時代に応じた成長を続けるだろう。