SpoolライターVer5.0

66. 直接印刷

SpoolライターVer5.0の優れた機能は

(1) IBM iだけで高速で簡単にPDF化することができる。

(2) スプールの印刷機能を拡張することができる。

(3) IBM iからの直接印刷が可能になる

との大きく分けて3つの重要な機能がありますが
ここで説明するのは(3)の直接印刷です。

IBM iからの直接印刷の要望が多いのはプリンタ・セッションを
廃止したいからです。

SpoolライターVer5.0の印刷のマニュアルはこちらをご覧ください。
IBM iの印刷操作の説明はこちらにあります。

■ プリンタ・セッションとは

IBMは5577系のIBMが製造販売しているプリンタ以外の他社製プリンタにも
印刷できるように5250印刷エミュレータにプリンタ・セッションと呼ばれる
印刷の仕組みを作りました。
これはIBMの印刷ストリーム(SCS)をPDTと呼ばれるファイルで
プリンタ用のストリームに変換するものです。
つまりPDTとはIBMが用意したプリンタ・ドライバーです。
プリンタ・ドライバーとは印刷スリームをプリンタ・メーカーの印刷仕様のストリームに
変換するソフトウェアのことです。
Windowsのプリンタ・ドライバーが一般的で有名ですがこれはWindowsのスプール(MS-EMF)を
 各プリンタ・メーカー用の印刷ストリームに変換するためのソフトウゥアのことです。
PDTもIBMの印刷ストリーム(SCS)を変換するプリンタ・ドライバーです。
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このPDTがあとあとIBM iの印刷にいろいろな制約を与えてしまうことになります。

■ PDTの弊害

PDTはプリンタ・ドライバの機能を持つわけですが
プリンタ・メーカーは自社のプリンタにIBMユーザーが望む特殊な機能の印刷を
サポートするためにこのPDTをカスタマイズします。
例えばバー・コード印刷などの機能を追加するために自社用のPDTを
プリンタ・メーカーのSEがカスタマイズします。

この結果このプリンタ・メーカーのプリンタにはバー・コードを印刷できるように
なりますが他社製のプリンタには印刷できない状態が続きます。
このプリンタが高価であっても他社製のプリンタに変更することはできなく
なってしまいます。
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このプリンタをIBM直結で印刷しようにもこのPDTを生かさないといけないので
多くの場合は直接印刷ができなくなってしまいます。

またRPG/COBOLのプログラムでプリンタ・メーカー独自の印刷ストリームを
出力している場合も同様な問題が発生します。
プリンタを他のメーカーに替えることができなくなってしまうのです。

このようにプリンタ・メーカーに依存した対応で印刷すると
後後でブリンタを他社メーカーに変更することができなくなってしまいます。

■ 直接印刷にできるのは

それでは直接印刷に変更できるのはプリンタ・セッションにおいて

・PDTは使用しているがプリンタ・メーカーに印刷ストリームを変換するためのPDTである。

・PDTを何もカスタマイズしていない。そのまま使っているだけである。

・RPG/COBOLでも特殊な印刷ストリームを出力していない。

の条件に当てはまる場合です。
 このような場合であれば直接印刷に変えることができます。
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 ※ PDTをカスタマイズとていたりプログラムで印刷ストリームを出力している場合は
SpoolライターVer5.0では直接印刷に変更することはできません。
その場合はtheWINDOWSライターによって直接印刷にすることができます。

■ 直接印刷の種類は

それでは直接印刷にはどのような方法があるのでしょうか?

・IBM LPRコマンド

IBM iには LPR(=Line Printer Protocol)という名の印刷プロトコルが
提供されており誰もが使うことができます。

・LPRは元々はUNIXのコマンドでありほとんどのプリンターはLPRを
サポートしています。(プリンター側のLPRはLPDと呼ばれます)

・LPRは単純なコマンドであるため複合機にもLPRを使って
印刷はできますが用紙の方向や用紙名、印刷トレイ…などの
細かな指定は一切できません。

・よくソフト製品で複合機にも印刷できますという触れ込みの製品が
ありますがそれらの多くはIBM のLPRコマンドを利用しているだけで
「印刷できる複合機もあります」という意味であって
「すべての複合機に印刷できます」という意味ではありません。

 ・IBM iのLPRコマンドはあくまでもLPR印刷の機能がIBM iにあると
いうことで実験用のコマンドとして理解に留めておくべきです。

・SpoolライターVer5.0による直接印刷

それではSpoolライターVer5.0にはどのような直接印刷コマンドがあるのかを
ご紹介します。

・LPRコマンド

SpoolライターVer5.0にもLPRコマンドがあります。
これはSpoolライターVer5.0の独自のLPRコマンドであり
テキストだけでなくPDFをLPRで印刷出力することができます。
細かな印刷指定ができないのはLPRという仕様なので当然です。

・IPPコマンド

SpoolライターVer5.0にはIPPという名前の印刷プロトコルがサポートされています。
IPPはLPRより進化した印刷プロトコルでありIPPも今ではほとんどのプリンターが
サポートしています。

・IPPでは複合機に対して細かな印刷指定ができます。

・用紙サイズ ・用紙方向 ・用紙トレイ ・印刷部数 ・両面印刷

     [例] 契約書の印刷, 葉書への両面印刷

・PDF化してIPP印刷すれば会社ロゴ、印章、カラー文字印刷も可能です。
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・5577系プリンタの廃止

5577系連続専用用紙で印刷していた業務をPDFオーバーレイ印刷に替えると
用紙コストは激減し保守料の高額なプリンタも廃止できて
静かなオフィス環境が実現できます。

・複写伝票の廃止

複数枚のカーボン複写で印刷していた業務もPDF化すれば
1回のプログラム実行だけで複数のPDFを生成することができ
しかもカーボン複写のときのように特定の項目だけは複写しないようにもできます。

 

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