社長ブログ

51. 日本語フォントの埋め込み(2)

クライアントPCの普及に従って印刷機能も注目されて
面倒なプリンタ・セッションの廃止とともに
IBM iからの直接印刷への流れが加速しています。
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今後の印刷関連の方向はPDF化の時代を終えて
直接印刷がトレンドになっていくことは
間違いありません。
PDF化はもう当たり前。それより大事なことは
PDFの直接印刷です。
PDFを直接印刷ではればPDFのバー・コードや画像、罫線も
簡単に印刷できるようになります。
今までプリンタ側でPDTや帳票定義体でやっていたのは
印刷のクライアント・サーバー・モデルです。
クライアント側ばかりでは限界です。
これからはIBM iからの直接印刷へ向かう時代です。
いわば印刷の集中管理です。

弊社は様々な方法で直接印刷を指向してきました。

■ 印刷はPDF印刷が標準へ

 これまでのSCS印刷スプールと言えば文字ベースだけであり
表現力に欠けていました。
画面表示がGUI化Web化されるように印刷も表現豊かにする必要が
出てきたのです。
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 それはバー・コード印刷であったりQRコード印刷であったり
罫線印刷、専用用紙イメージとのオーバーレイ印刷です。
このような印刷の表現力を強化する手法として最も最適なものは
PDFです。
PDFであれば既に印刷の文字とさまざまなコンテンツの共存が
計られており多くのプリンタがそれをサポートしています。
したがって印刷の表現力の強化にはPDFによる印刷が欠かせないのです。
印刷はすべてPDF化して印刷することを標準にしても
おかしくはないでしょう。

■ プリンタ・セッションを廃止して直接印刷へ

 もうひとつ同時に起こっている印刷のトレンドはプリンタ・セッションの廃止と
直接印刷への移行です。
先ほどPDF印刷への推移を説明しましたがプリンタ・メーカーなどによる
一時的なバー・コード印刷などの独自の手法からは早く脱却して
PDF印刷へ移行すべきです。
特定のプリンタに縛られてしまうと後からそれだけ脱却にコストがかかってしまう
ことになります。
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さてIBMはIBM製の5577系のプリンタ以外のプリンタでも印刷できるようにするために
プリンタ・セッションという苦肉の策の回避策を講じましたが
一時的には他のメーカーのプリンタもサポートできたものの
プリンタの台数が増えてくると管理が大変なことになってしまいました。
それだけではなくWindowsを使うということは4年に一度のバージョン・アップの都度
新しいWindowsへの移行の手間が発生するのです。
情報システム室はプリンタ・セッションを廃止して直接印刷を希望しましたが
LPRというUNIX互換のコマンドの提供でしかありませんでした。

■ LPRの限界

 それではLPRというコマンドですべての直接印刷が行えるのでしょうか?
答えはNoです。
なぜならLPRはUNIXの古典的な印刷プロトコルであるので
現代のユーザーが希望するような機能は備えていません。
現代のユーザーの希望は

・用紙名、用紙サイズ、方向、印刷部数、トレイ、両面印刷などの指定ができること

・PDFの印刷ができること

に代表されますがLPRはどちらにも対応していません。
そこでIBMのLPRを使ってWindowsサーバー経由での印刷を提唱しているソフト会社もありますが
これでは直接印刷とは言えません。
IBMユーザーは何かというとWindowsサーバーを持ち出す面倒なソリューションには
もう飽きているのです。

■ LPR以外の解決方法

もうひとつIPPという印刷プロトコルがありIPPであれば

・用紙名、用紙サイズ、方向、印刷部数、トレイ、両面印刷などの指定

をすることができます。
またはIBM のCRTDEVPRT(=印刷装置の作成)コマンドでユーザー定義の
LPRドライバーまたはIPPドライバーを組み込んでPDFも読むようにすれば
PDFも直接印刷することができます。
SpoolライターVer5.0ではIBM iで生成したPDFをこの方法で
IBM iから直接印刷しています。
IBM iからPDFをWindowsも使わずに直接印刷しているのはSpoolライターVer5.0だけです。

■ プリンタのフォントの問題

PDFをIBM iから直接印刷できるようになったのですからこれですべて解決でしょうか?
そうではありません。
実はまだプリンタのフォントに関する問題が残っています。
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フォントというのは無料のものではなく列記とした有償のライセンス・ソフトウェアです。
従ってプリンタに他社製のフォントを搭載するとプリンタの値段は高くなってしまいます。
プリンタ・メーカーは価格競争力を維持するために自社のフォントのみを搭載する傾向にあります。

例えばMSゴシックが指定されたときはMSゴシックの搭載が無くてもそれに近いフォントで
印刷を試みます。
よくMSゴシックを指定したはずなのにこのプリンタによる印刷出力に違和感を感じるときが
ありますがあれはこういう理由です。
また多くのプリンタ・メーカーは代替フォントで印刷しようといますが
どういうわけかROCOHは代替フォントの機能はなくRICOHのフォントを指定しない限り
日本語を印刷することができません。

したがってIBM iからの印刷でもプリンタのフォントをPDF内で指定してやらないと
日本語を印刷できないという事態を生じます。

■ 日本語フォントの埋め込み

フォントは有償であることを説明しましたがさらにプリンタによっては
日本語フォントが全く搭載されていない機種も存在します。
いやWindows経由であればそんなプリンタでも正しく日本語が印刷されていると
言ってもそれはWindows経由ではプリンタ・ドライバーがWindows搭載のフォントを
参照しているからです。
IBM iからの直接印刷ではプリンタ・ドライバによるそのような機能はありませんので
PDF内にフォントを埋め込んでプリンタへ送信してやる必要があります。
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PDFにフォントを埋めこむことができれば海外のPCでPDFを参照しても正しく日本語を
表示したり印刷したりできます。
実はMicrosoftのOffice製品でPDFとして保存する機能がいくつか用意されていますが
フォントを埋め込んでPDF保存することが標準であり埋め込まないという選択オプションは
用意されていません。
それほどPDF内にフォントを埋めこむことは当たり前になっているのです。
現在、IBMのCPYSPLFコマンドでスプールをPDFに変換することができますし
他社製品でスプールをPDF化する製品も販売されていますが
PDF内に日本語フォントを埋め込める製品はありません。
今回のSpoolライターVer5.0による「日本語フォントの埋め込み」が初めてであり
今後も同じ機能が海外輸入ソフトも含めて10年以上は出てこないでしょう。

現在、実機により印刷テストもほぼ完成しています。

このフォントの埋め込みが必要になるのは日本だけの問題であるからです。
また日本語フォントを埋め込もうとすると弊社ではAdobeによる有償の公開の英文仕様書他を
解析して作成したPPTの仕様書だけでも48ページもの大量になるからです。
IBMユーザーにとってはフォントの埋め込みと聞いても簡単そうにしか聞こえませんが
このような大量の仕様書を必要とする難易度の高い開発になりました。

しかしそれはお客さまにとってあまり関心のないことかも知れません。
それでも今後のIBM iの印刷というテーマでは日本語フォントのPDFへの埋め込みは
必須の技術となるはずです。

■くわしくは技術ショート・セミナーで

IBM iからの直接印刷は今後の向かう方向であることはまちがいありません。
日本語フォントの埋め込みによって直接印刷のための障壁は完全に無くなりました。
今後10年の印刷の方向を決める重要なセミナーを開催してくわしくご説明致しますので
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