5250エミュレータ

41. PDTとは何だろう?

PDT(=Printer Definition Table:プリンタ定義テーブル)>とは何だろう?
この厄介な代物は各プリンタ・メーカー用のストリームへ
SCS印刷ストリームを変換するテーブルである。

一方、Windowsに導入されているプリンタ・ドライバも実は
印刷ストリームを各プリンタ・メーカー用のストリームへ変換している。

どちらも機能的には同じものである。

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変換テーブル     変換元    変換先
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PDT    SCS印刷ストリーム    プリンタ印刷ストリーム
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プリンタ・ドライバ     MS-EMF    プリンタ印刷ストリーム
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 MS-EMF(=Enhanced MetaFile)とは Microsoft仕様の印刷ストリームのことである。
WindowsのAppが印刷出力を実行するとスプールは MS-EMFとして出力される。
それを印刷するにはプリンタ・メーカーのストリームに変換する必要があるので
プリンタ・ドライバが必要になるというわけである。

こう書いてしまえばPDTはプリンタ・ドライバと同じ役割を担っている
ソフトウェアのことであると理解できる。
それならPDT印刷ができるなら十分ではないかと思うがそうではない。
PDT印刷とプリンタ・ドライバによる印刷には大きなちがいがある。
PDT印刷はもっぱら文字ベースの印刷を目的として開発されたものであるが
MS-EMFによる印刷はGDI印刷(=Graphic Device Interface)と称して
グラフィカルな対象も総合的に印刷の対象としている。
文字印刷はその一部である。
グラフィック印刷とは画像、写真、図面、バー・コード、QRコードなどである。
今の時代にはこれらのコンテンツを印刷する必要性があるのは必然である。

SCS印刷ストリームも拡張すれば

プリンタ・メーカーはWindows対応のために自社でプリンタ・ドライバを開発して
無償でユーザーに提供している。

 

従ってSCS印刷ストリームをMS-EMFに変換してやるとSCS印刷ストリームも
プリンタ印刷ストリームにプリンタ・ドライバで変換できるので
 PDTがなくても印刷することができるようになる。

SCS印刷ストリーム —> MS-EMF —->プリンタ・ドライバ—->プリンタ印刷ストリーム

 

これが the WINDOWSライターGDi印刷の処理構造である。
国内の特約店などからIBMへGDi対応をIBMに請願しようという書き込みなどが
あったりするが恐らくはIBM は GDi印刷の対応はやらない。
それは

・GDi対応の印刷をサポートするとIBM 5577系プリンタが売れなくなる。

・Gdi対応にする技術力がIBM社内にはない。

の2つの理由からであると思われる。

 さてPDTがプリンタ・ドライバと同じ機能であるならば
PDTをWindowsクライアントの配置しなくてもIBM iサーバー・サイドに
PDTを配置しておけば SCS印刷ストリームをIBM i上で変換できるし
直接、Windowsへ変換したストリームをWindowsを送ることができる。
これが the WINDOWSライターのPDT印刷である。

さらにPDT変換した印刷ストリームをLPRで直接、プリンタに送れば
まさしくプリンタはIBM i直結プリンタとなる。
この処理構造が the WINDOWSライターの LPR印刷である。

the WINDOWSライターのLPR印刷はIBM iから見て最も理想的な
印刷方式である。
ただし LPR印刷では

・PDT対応プリンタであること

・LPR対応プリンタであること

の2つの条件が必要である。
PDT対応プリンタとはPDTが用意されているプリンタのことである。
PDTは IBM5577系を始めとして CanonやEPSON, HPなどが
用意されているがPDTが提供されていないプリンタもある。

そのようなプリンタはMS-EMFから印刷することができる。
Windowsノプリンタ・ドライバはすべてのプリンタに提供されているので
MS-EMFからはすべてのプリンタに印刷することができる。

これがthe WINDOWSライターの GDi印刷である。

このようにして the WINDOWSライターを使うとIBM iからすべての
プリンタに印刷できるようになる。
IBM iの歴史も長いがすべてのネット・ワーク・プリンタに印刷できる
というソリューションは存在しなかったし誰も開発しなかった。

今回、Windows10問題Java有償化問題が無ければ弊社としても
直接印刷のソリューションを開発するキッカケにはならなかったであろう。

24*80の画面制約を打ち破った5250ハンドラーに並ぶイノベーションである。
the WINDOWSライターによる直接印刷は2020年になって問題が顕在化して
なおいっそう注目を浴びることになるだろう。

セミナーに申し込んだユーザーは問題をいち早く気づいた方であろう。
国内のIBMユーザーが直接印刷によってこの問題を解決して頂けることを
願ってやまない。