今回の記事は複数台のPowerSystemを保有していて
クラウドでもう一台のPowerSystemを追加するユーザーにとって
大変重要な話である。
Power VS を使って初めて判明したのだが
VLS で仮想的に社内として結合している
Power VSに対してパス・スルー(STRPASTHR)を
行うと簡単にフリーズしてしまうことが
判明した。
パス・スルーは成功するのだが何かコマンドを入力すると
そこでフリーズして強制キャンセルすると
次はパス・スルーしても二度と繋がらないという障害が
発生した。
さらにフリーズしたジョブを簡単にキャンセルしたのでは
二度とパス・スルー(STRPASTHR)接続できなくなってしまうという
問題まで発覚した。
この重要は問題の解決方法を紹介する。
■ パス・スルーでフリーズしたジョブのキャンセル方法
STRPASTHRでフリーズしてしまったジョブをWRKACTJOBの「4=終了」で
終了してしまうと受け側のPower VSをIPLしない限り二度と
パス・スルー接続はできなくなってしまう。
これを正しくキャンセルさせるには
WRKAPPNSTS + [実行] で「2. RTP 接続の処理」を
選択して
RTP 接続の処理
システム : Sxxxxxx
オプションを入力して,実行キーを押してください。
5= セッションの処理 8=APPN ロケーションの処理 9= パス・スイッチ
10= 接続の終了 12= 構成状況の処理 ...
--RTP パートナー ---
rョnンーh ナーベヌ ネョニュ]
OPT 制御装置 制御点 ID TCID h[ヌ 数
R688C74X
R688C74X APPN 000030 #CONNECT 2
VER76
10 VER76 APPN 000060 #CONNECT 1
ここで「10=接続の終了」を選択するとまもなく STRPASTHRを実行して
フリーブしていたジョブも強制終了される。
■ Power VS にパス・スルーでフリーズする原因
Power VSにパス・スルー接続してフリーズする原因は
APPC (=SNA:すなわちパス・スルー)の最大伝送サイズが 1461バイトであるのに対して
IBM Cloud(のVPN)のMTU(=最大伝送単位 Maximum Transmission Unit)は1216バイトである。
つまり パス・スルーは1461バイトを一度に転送しようとしているのに対して
Power VSのクラウド伝送は 1216バイト(=データ部分は1208バイト)しか送れないので
伝送が途中で詰まってしまうということである。
パス・スルーが伝送したい長さ1461バイト > PVSの伝送長 1216バイト
したがってこの障害はPower VSだけでなくクラウドでIBM iを接続したときに
同じように発生する障害である。
Power VSだけに起こる障害ではない。
弊社では社内にVer3.7, Ver5.4, Ver6.1, Ver7.1, Ver7.5 の5台のPowerSystemがありさらに埼玉のデータ・センターに Ver7.3/7.4 の一台のPowerSystemつまり
合計6台のPowerSystemを保有していて今回のPowerSystemが7台目となる。
■ 解決方法
APPCの最大伝送はサイズを 小さくして 1208バイトに変更すればよい。
CHGCTLAPPC CTLD(VER76) MAXFRAME(1208) (OS Ver7.1) CHGCTLAPPC CTLD(S0667E36) MAXFRAME(1208) (OS Ver7.6)
(両方のIBM iで同じようにMAXFRAMEを変更する)
おわかり頂けたであろうか?
これは実際に Power VSを使って運用してみないとわからない問題であり
この障害の解決方法も簡単には見つからなかったので紹介した。
■ Power VS情報は技術情報セミナーで
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