LPR(=Line Daemon Printer Protocol)とはUNIX仕様の印刷プロトコル(=通信手順)です。
印刷を要求するクライアント側をLPRといい印刷するプリンタ側をLPDといいます。

LPRを使えばIBM iから直接、ネット・ワーク・プリンタに印刷することが
できるようになります。
例えば複合機であってもほとんどの複合機(XEROX, RICHO, …)はLPRをサポートしています。
市販されている多くのプリンタがLPDサーバーが起動されていますので
LPRから印刷要求すると印刷することができます。
そこでIBM iにもLPRコマンドが用意されています。
TCP/IP スプール・ファイル の送信 (LPR)
選択項目を入力して,実行キーを押してください。
リモート・システム . . . . . .
印刷装置待ち行列 . . . . . . .
スプール・ファイル . . . . . . 名前
ジョブ名 . . . . . . . . . . . * 名前 , *
ユーザー . . . . . . . . . . 名前
番号 . . . . . . . . . . . . 000000-999999
スプール・ファイル番号 . . . . *ONLY 000000-999999, *ONLY...
ジョブ・システム名 . . . . . . *ONLY 名前 , *ONLY, *CURRENT, *ANY
続く ...
F3= 終了 F4=プロンプト F5= 最新表示 F10= 追加のパラメーター
F12= 取り消し F13= この画面の使用法 F24= キーの続き
リモート・システムとしてプリンタのIPアドレスを指定すればLPRで印刷することができますが
実用的な問題があります。
それはプリンタ・ドライバが用意されていないことです。
IBM iのLPRコマンドは IBM iでもLPRが使えるということを示しているに過ぎません。
CLPの中でこのLPRコマンドを最後に実行すればLPR印刷は可能になりますが
やはりIBM iでの印刷業務はOUTQにスプールを投入してSTRPRTWTRコマンドでライターを
起動して印刷することが自然です。
SpoolライターVer5.0でもLPRコマンドが次のように用意されています。
LPR 印刷 (LPR)
選択項目を入力して,実行キーを押してください。
プリンター・サーバー IP . . . . '192.168.1.60'
遠隔印刷待ち行列名 . . . . . . 'Doclpd'
スプール・ファイル . . . . . . QPRINT 名前
ジョブ名 . . . . . . . . . . . * 名前 , *
ユーザー . . . . . . . . . . 名前
番号 . . . . . . . . . . . . 000000-999999
スプール番号 . . . . . . . . . *ONLY 1-9999, *LAST, *ONLY
印刷方法 . . . . . . . . . . . *LPR *LPR, *IPP, *ORCA
終り
F3= 終了 F4=プロンプト F5= 最新表示 F10= 追加のパラメーター
F12= 取り消し F13= この画面の使用法 F24= キーの続き
[解説]
このLPRコマンドはIBM iのLPRコマンドとは別に㈱オフィスクアトロが新たに開発したものです。
市販の他社製品でIBM iから複合機などに直接印刷できますと唄っているものは
IBM iのLPRコマンドを利用しているに過ぎませんがSpoolライターVer5.0のLPRコマンドは
独自に開発したものです。
これは
・品質を保証するため。IBM iのLPRコマンドを利用していたのでは
IBM iのLPRコマンドにバグがあった場合は対応できないから。
・機能を拡張できるように。独自開発のものであれば自由に機能を
拡張することができる。
ためです。
しかしLPRを利用するにはLPRの印刷ドライバが必要です。
LPR 印刷装置の作成 (CRTDEVLPR)
選択項目を入力して,実行キーを押してください。
装置名 . . . . . . . . . . . . > LPRDEV 文字値
装置クラス . . . . . . . . . . *LAN *LCL, *RMT, *VRT, *SNPT, *LAN
装置タイプ . . . . . . . . . . '3812 ' 3287 , 3812 , 4019 , 4201 ...
装置型式 . . . . . . . . . . . '1 ' 0 , 1 , 2 ...
プリンター型式または *PDF . . . *PDF
LAN 接続機構 . . . . . . . . . *USRDFN *LEXLINK, *IP, *USRDFN
ポート番号 . . . . . . . . . . 0 0-65535
用紙サイズ :
用紙サイズ . . . . . . . . . *SPLF *SPLF, *CUSTOM, *A3, *A4...
用紙方向 . . . . . . . . . . *LANDSCAPE, *PORTRAIT
ページ・サイズ : FORMSIZE
長さ --1 ページ当たりの行数 *AUTO
幅 --1 行当たりの文字数 . .
測定方法 . . . . . . . . . . *ROWCOL
左寄せ/上寄せ/中央寄せ : ALIGN
縦方向 . . . . . . . . . . . *TOP
横方向 . . . . . . . . . . . *CENTER
余白(インチ) : MARGIN
上余白 . . . . . . . . . . . *DEFAULT
下余白 . . . . . . . . . . .
左余白 . . . . . . . . . . .
右余白 . . . . . . . . . . .
フォント : FONT
識別コード . . . . . . . . . ' MSゴシック '
ポイント・サイズ . . . . . . 11
印刷装置エラー・メッセージ . . PRTERRMSG > *INQ
メッセージ待ち行列 . . . . . . MSGQ *SYSOPR
ライブラリー . . . . . . . .
パリティーのタイプ . . . . . . PARITY *NONE
停止ビット . . . . . . . . . . STOPBITS '1 '
ホスト印刷の変換 . . . . . . . TRANSFORM *NO
リモート・ロケーション . . . . RMTLOCNAME '127.0.0.1'
ユーザー 定義 ドライバー・プログラム . . USRDRVPGM LPRDVR
ライブラリー . . . . . . . . SPOOLWTR
テキスト ' 記述 ' . . . . . . . TEXT *BLANK
権限 . . . . . . . . . . . . . AUT *ALL
[解説]
このLPR 印刷装置の作成 (CRTDEVLPR)コマンドはLPRドライバを組み込んだ印刷装置(*DEV)を
作成します。
LPRドライバとは
ユーザー 定義 ドライバー・プログラム . . USRDRVPGM LPRDVR ライブラリー . . . . . . . . SPOOLWTR
のことを言います。
OUTQに対してこれで作成した印刷装置(*DEV)をSTRPRTWTRで開始させれば
いつもの印刷と変わりありません。
LPR印刷によってネット・ワーク・プリンタに直接印刷できるようになりますので
すべてが解決したように見えますが
・APW 罫線、倍角印字、バーコード、カラー文字、画像、オーバーレイ印刷などを
行うには PDF 印刷が必要です。
PDF を印刷するためには PDF ライターを備えているプリンターが必要です。
複合機ではPDF印刷は別途オプションの契約が必要になるものが
多いようなのでご注意ください。
・市販の多くのプリンタは LPD/PDF 印刷に対応していますが
簡易なモバイル・プリンタのような場合は対応していない場合もありますので
ご確認ください。
・LPR印刷では指定できる機能はプリンタによって制約があります。
LPRで目的の印刷ができればそれで問題は解決しますが
LPRにはいくつかの制約がありますのでLPR印刷を拡張したものにIPP印刷があります。
次回はそのIPP印刷をご紹介します。
