PASE環境

2. PASE環境がなぜ重要なのか?

PASE環境はAIXつまりUNIX互換であると
先に説明した。
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■ PoweySystem には UNIXが既にある

UNIXの世界は多くのフリー・ソフトウェアが
開発されておりその中でも世界的に普及している
ソフトウェアもたくさん存在している。
MicrosoftのExcelやWordの代替となるソフトもあるし
UNIX独自のメジャーなソフトウェアもある。
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▲ 41 : (株)オフィスクアトロが導入したPython 3.6.8

先に説明したように IBM iには PASE環境と呼ばれる
AIXつまりUNIX互換の実行環境が存在しているので
これを利用しなければ損であるし
オープン系に指向したいと言っていた人は
IBM iから他のハードウェアに移行したいのであれば
PASE環境を利用すべきである。

IBM iは既にPASE環境というAIXつまりUNIX互換の
実行環境があるのだから IBM i上で UNIXのプログラムも
そのまま動作させることができる。

IBM iのままオープン系を利用することができる環境がある。
それが PASE環境である。
これを利用しない手はない。

■ オープン・ソース・プロジェクト(OPS)

IBMは OS Ver7.1でIBM iにはオープン・ソースの
アプリケーションを積極的に導入して
IBMユーザーにも活用してもらおうと
推進を始めた。
これがオープン・ソース・プロジェクトであり
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IBM iにも

5733OPS

という名前のライセンス・プログラムをプレ・インストールで
導入した。
オープン・ソースというのはソースに公開して
多くの一般プログラマーに開発してもらおうという趣旨の
プロジェクトのことである。
日本では残念なことに普及していない。

■ 5733OPSのオープン・ソース

それでは 5733 OPSはどのようなオープン・ソースが
梱包されているのだろうか?

・ライブラリー : QOPS

5733OPS オープン・ソース のオブジェクトは
ライブラリー: QOPS に収められている。
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・5733 OPS の概要

  

プログラム 摘要
1 Node.js v0 サーバー・サイドJavaScript
2 Python 3.4.6 開発言語 Python
3 gcc オープン開発 C言語
4 Python2. 7
5 Node.js v4
6 git バージョン管理
7 tools ツール
8 Ecripse Orion ecripse 開発環境IDE
9 Nginx HTTPサーバー

このようにオープン系のモジュールが用意されていて
利用することができる。
この中でIBMユーザーに影響あるのは

Node.js : ロンドンIBMによって開発されたサーバーで利用可能な
JavaScriptである。
将来的にはNode.jsの利用も考えられる。
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Python : なんと言っても注目度の高いのは Pythonである。
WindowsやLinux, UNIXでも使えて簡単に学習できることから
急速に普及が広がり2023年度の日経の調査では
Javaを抜いてPythonが最も普及している開発言語と
評価されている。
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gcc: オープン系の世界ではこのgccによるC言語が最も有名であり
C言語として幅広く利用されている。

 Eclipse : IBMがSEUに代わる開発IDEとしてeclipseを買収して
鳴り物入りで普及しようとしたがJavaが重いのと
Javaの利用が有償になってしまったので
利用に急ブレーキがかかったような次第である。

■ OPSは Ver7.4で終わり

 オープン・ソースの導入は yumという専用インストーラが
オープン系に公開されたので IBMもそれを利用すべきであるとして
5733 OPSの導入は Ver7.3を最後に無くなってしまったる

そこでVer7.4以降では多くの国内サイトで
次のような導入方法が紹介されている。


① STRTCPSVR *SSHD で SSHDを開始する

② IBM ACSで yum を導入する

③ yum を使って Pythonを導入する


しかしこれらは恐らく米国サイトなどを丸写ししたもので
日本語環境のIBM iでは Ver7.1~7.5の環境でも全く動作しない。

①と②も動作しない
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よくSEが検証もしないでマニュアルなどを丸写しして
さも動作したかのように公開するのは問題である。
あるソフトウェア会社でも堂々とこの方法を
公開している会社もあるが実績どころか問い合わせもないことがよくわかる。

■ SystemManagerによるインストール

OS Ver7.3を最後にオープン・ソース・プロジェクトは
無くなってしまったので(株)オフィスクアトロでは
SystemManager APIによるインストーラを時間をかけて
開発した。
これはIBMがライセンス・プログラムの導入と配布に
行ってきた方法と同じもので
SystemManager によってプロダクトを導入したものは
次のように GO LICPGM で表示されることになる。
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▲ 41D8035 :(株)オフィスクアトロが導入した Python 3.6.8
41D8038 : 開発中の製品 Python.400 フレーム・ワーク

SystemManagerはIBMの有償ライセンスであったが
OS Ver7.5より無償で使えるようになった。
(株)オフィスクアトロではSystemManager APIで
自前のSystemManagerを開発したので
Pythonだけでなく, Node.js や gccも配布することができる。
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さらに OS Ver7.6では SDA や DFUなど重要なユーティリティが
廃止されるので下位システムから SystemManagerによって
上位へ配布できないか検討するつもりてある。